大原の赤しそを知る

何百年もの間、大原の里でくり返し育てられた大原の名産・赤しそ。
混じり気のない鮮やかな紫と深みのある香りに、遠方からわざわざ買い求めにくる人もいるほどです。

さまざまな薬効にすぐれる、”蘇る紫の葉”。

大原の名産品である「しば漬」の材料に欠かせないのが、「赤しそ」。実は、ここ大原で作られる赤しそは、香り、発色とも全国的に非常に高い評価を得ており、近年では自宅でしそジュースや梅干しを作るために、わざわざ遠くから赤しそを求めてやってくる人が後を絶ちません。大原の赤しそがたくさんのファンを生んでいるのはなぜなのでしょうか。

そもそもしそは、医学的には蘇葉(そよう)と呼ばれます。その昔、中国でかにの食べて食中毒を起こした人に、漢方医がしその葉を煎じて飲ませたところ、元気が蘇ったので、そこから転じて、“蘇る紫の葉”=紫蘇の名前がついたそうです。

大原の赤しそ

 

しその独特の香りは、ペリルアルデヒドという香気成分によるもので、強い防腐・殺菌作用があり食中毒予防に有効とされています。また、抗酸化作用が期待されるβ-カロテンの含有量が緑黄色野菜の中でもトップクラスに高いことから、アンチエイジングにも役立つとされ、さらにビタミンC、鉄分、カルシウムが豊富で、貧血予防、精神安定作用、健胃作用などさまざまな薬効があることで知られます。

ちなみに、中国の民間療法では古くから、えびやかになどの海産物を食べる時のじんましん予防に、しその葉を一緒に食べると良いとされてきました。また、花粉症などのアレルギー症状の緩和にも効果を発揮すると言われています。

原品種に最も近い、最高級の色・香り・味。

20余年前、土井志ば漬本舗の「大原産・ちりめん赤しそ」を大手製薬会社の研究所が調べた結果、大原産の赤しそが、“最も原品種に近く、色・香り・味とも最高級である”と学会で論文発表がなされました。
その理由として、
1)800 回以上繰り返し繰り返し、栽培されてきたこと
2)大原が盆地のため、他所からの花粉の飛来がないこと
3)赤しその栽培に最も必要な水分が、夏の晴れた日には山裾に霞(小野がすみ) がたなびき、冷気を含んだ水分がしその栽培に好影響をもたらすこと
などが考えられています。

そんな大原のすばらしい赤しそに親しんでもらえるように、しそが栽培される春から加工品として出荷される秋頃までに、さまざまな企画が催されています。

▼春(4 月下旬~5 月上旬)
・しその苗植え体験

▼夏(7 月1 日~7 月下旬)
・赤しそ開き(しその葉の即売期間)
・赤しその刈り取り体験
・しば漬、梅干し、しそジュース作り体験

▼秋(9 月21 日~24 日)
・しば漬の日(寂光院でしば漬の新漬けを振る舞い)